近年、日本食に対する関心が国際的に高まっているが、医学的な観点から見た日本食の研究知見の蓄積が遅れているとの指摘がある。今後、日本食による疾病予防や健康増進との関連を検証するためにも、日本食の特徴や内容の整理を進めることが不可欠である。
日本食の特徴を栄養・食事を主題とした疫学的視点から評価し、整理すること。
系統的レビューの手法で文献を選択した。次に日本食の記述データ分析として、選択した文献から、日本食の要素抽出・カテゴリー集約を行い、集約したカテゴリーを用いて日本食の記述の内容分析を実施した。
系統的レビュー:電子データベースは、PubMed、Web of Science、医学中央雑誌、JDream III、CiNiiを用いて検索した。また、関連書籍・雑誌、政府発行レポートを調査した。更に、これらの参考文献リストからも該当文献を収集した。適格基準として、一般集団における疫学研究のうち、食事単位による分析法を用いた日本食の記述のある文献を対象として設定した。得られた文献から文献特性(実施国、場所、研究デザイン、参加者特性、主要アウトカム、食事パターンの分析法)、日本食に関する記述(日本食の食事パターンに含まれる食品の説明など)の項目を抽出した。
日本食の記述データ分析:日本食に関する記述から日本食の要素の抽出と類似点によるカテゴリーの集約を実施した。さらに集約したカテゴリーを用いて内容分析を行い、各日本食の記述データに対して集約したカテゴリーの該当の有無を確認した。
系統的レビューにより39文献が採択された。日本食の記述を分析した結果、33の要素から16のカテゴリー(①米、②そば・うどん、③魚介、④肉、⑤卵、⑥大豆・大豆製品、⑦野菜、⑧海藻、⑨きのこ、⑩いも、⑪漬物、⑫みそ汁、⑬乳・乳製品、⑭緑茶、⑮果物、⑯みそ・しょうゆ)に集約できた。さらに集約したカテゴリーを用いて内容分析を実施した結果、該当したカテゴリー数の上位3位は、大豆・大豆製品、魚介、野菜であり、米とみそ汁がそれらに続いた。
疫学研究で用いられた日本食の内容は多様であったが、16のカテゴリーに集約された。上位3位のカテゴリーは、大豆・大豆製品、魚介、野菜であり、米とみそ汁がそれらに続いた。日本食は、主食・おかず・汁物といった要因の組み合わせが存在する食事パターンと考えられた。